麺啜(すす)り襤褸(ぼろ)をまといて三五夜の 月をみるなり泥田の蓮(はちす)
照滴055
本文
麺啜(すす)り襤褸(ぼろ)をまといて三五夜の 月をみるなり泥田の蓮(はちす)
形式
#短歌
カテゴリ
#10.精神・悟り・心象
ラベル
#悟り #蓮華 #月 #修行 #日常
キーワード
#泥田 #蓮 #月 #麺 #生活
要点
日常の質素な生活の中に悟りや美しさを見出す描写。
現代語訳
襤褸をまとい素麺を啜りながら、満月を眺める。泥田の中から生じて泥に汚されない清浄な花を咲かせる蓮華のように、日常の中に悟りを見るのだ。
注釈
三五夜の月:十五夜の月。満月
襤褸:質素な生活、粗末な修行者の衣服
解説
質素な生活や修行の中で見える自然や月の美しさが心の悟りと結びつく。泥田の蓮の清浄さに象徴される精神性。
深掘り_嵯峨
照滴054の漢詩の内容を、和歌として詠み直したものです。「麺啜り襤褸をまとい」という現実に根差した描写と、「三五夜の月」という究極の美、そして「泥田の蓮」という煩悩即菩提の真理が、一体の情景として提示されています。清貧な生活の中にこそ真理があるという、禅的な美意識と求道者の決意が込められています。